ストーリーテラーズブログ
スタートアップの伴走者として描く「新たな未来」
読み手の心に響くストーリーライティングを通じて、企業・商品・サービスを魅力的に紹介する会社、「株式会社ストーリーテラーズ」。
2021年に設立され、現在はWantedlyの運用代行や、企業の採用・広報・ブランディングを目的としたストーリー制作事業を行っています。
今回は立ち上げメンバーの一人で、3児の母でもある本部 友香(もとべ ゆか)に、参画した経緯についてインタビューしました。
本部はカナダで幼少期を過ごした帰国子女。これまでにIT企業のシステムエンジニア・プラスチック製造業の営業・保育事業の創業・外国人起業家のサポート、という異色のキャリアを経て、ストーリーテラーズに参画しました。
現在はインタビュー・ライティング・記事制作のサポートを担当している彼女ですが、チームへの参画を決めた心内には、「自身の起業経験に深く結びついた理由」がありました。
【インタビュー/ライティング】
ストーリーライター ヤマダユミ
創業者には絶対に伴走者が必要
本部がストーリーテラーズへの参画を決めたのは、代表の高野 美菜子(こうの みなこ)がメンバー募集の面談時に、「今回が2度目の起業なんです」と伝えたときでした。
かつて保育事業で起業を経験した彼女。高野の一言で過去の記憶が鮮烈に蘇ると同時に、一つの想いが芽生えました。
「創業者には絶対に伴走者が必要だ。起業経験のある私なら…きっとできる!」
彼女のこれまでの経験がひとつに繋がった瞬間でした。
目の当たりにした「創業者の孤独」
本部の父はプラスチック製造業の創業者。彼女は幼い頃から、父が真摯に事業に取り組む姿を目にしてきました。
「あまり家庭内で仕事の話をしなかった父でしたが、過去に2度ほど『会社が倒産するかもしれない』という危機に陥ったことがあります。
父は家族会議と題し、会社が今どんな状況にあるのか、端的に話してくれました。加えて『家を手放すことになるかもしれない』『子どもたちは学校を辞め、働いてもらうことになるかもしれない』と冷静沈着な顔で言ったんです。その姿を見て、子どもながらに経営者としての父の凄さを感じました」
社会に出て数年後、父の会社に営業職として入社した彼女。そのとき、父の創業者としての孤独を目の当たりにしたと言います。
「以前、会社経営をしている父の友人などから、『創業者はみな孤独なものだ』という話を聞いたことがありました。そのときは単純に言葉の意味を受け取っただけでしたが、実際に社員として入社してはじめて、創業者がどれほど孤独な存在なのかを痛感しました」
父は口下手で言葉にこそしなかったが、社員一人一人の想いを汲み取りながら、会社経営を進めていました。一方、少しでも問題が起こると、会社に対する不満を漏らす一部の社員の姿を目にすることになった本部。
「『会社を守り発展させることこそが、社員やそのご家族を守ること』と考え、さまざまな事業判断を下していた父に対し、社員たちはその根底にある想いを知らずにいる。それが悔しくて悔しくて…。かといって何もできない自分に、歯痒い気持ちでいっぱいでした」
起業で痛感した「創業者に必要な存在」
その後本部は、流産を機に父の会社を退職。しばらくして待ち望んでいた第一子を授かりました。まもなくして、彼女は持ち前の語学力を活かし、赤ちゃんから未就学児まで通える英会話教室を始めることに。
仕事に子育てにと毎日忙しく過ごす彼女でしたが、第二子を授かったあと、一人目の子どもが近所のインターナショナルスクールに通いだしました。
ある日、子どもが通うスクールが移転することになり、ほかのスクールを探していた彼女。しかし、周辺に理想とするスクールはありませんでした。そこで、「我が子を通わせたいと思える、理想のスクールを自ら作ろう!」と一念発起。
保育事業としてインターナショナルスクールを創業したのです。
彼女が立ち上げたスクールは、「読み書きは教えずに遊びの中でのみ取り入れる」「雨の日も外遊びを行う」「子ども同士の喧嘩は見守る」など、一般的な保育園とは異なる方針でした。
すると、その教育理念に賛同したスタッフが、徐々に集まるようになったのです。
しかし、人が集まれば集まるほど、今までにはなかった課題やトラブルも出てきました。保育方針に則ったスタッフの研修や、想定外の保育園ならではの対応などに追われ、園児との時間がどんどん削られていったのです。
「あの頃の私は、経営者として絶えずたくさんのことを考え、あらゆる問題をすべて一人で抱え込んでいました。それゆえ、スタッフを丁寧に気遣う心の余裕はなかったんです。
常にいっぱいいっぱいだったので、現場から提案された意見も『それは経営方針に沿わない』と突き放してしまい、現場と経営の壁を自ら作ってしまっていました。その結果、最も信頼していたスタッフが辞めてしまったんです」
四六時中事業のことを考え熱意を持って取り組んでいるのに、その想いがスタッフに伝わらないどころか、信頼していた人まで自分の元を去ってしまった。創業者の孤独と苦悩を知った彼女。
「もしあのとき事業経営について相談でき、創業者である自分に伴走してくれる人がいたら…結果は違ったと思います」
彼女はそう当時を振り返ります。その後、自身の体調不良と新型コロナウイルスの流行が重なり、やむなく保育事業から撤退することになりました。
「かつて必要とした伴走者に、私がなる」
事業撤退からしばらく経った後、ストーリーテラーズが立ち上げメンバーを募集していることを、知人から聞いた本部。興味を持った彼女は、代表の高野と直接面談をする機会を持つことに。そこで、「高野は今回が2度目の起業で、1度目は失敗している」という事実を知りました。
「起業の大変さを知ってる上で、また挑戦しようとしてる…!?」
再びチャレンジしようとする高野の姿勢に、素直に尊敬の念を抱いた本部。それと同時に、「彼女のそばでともに走り続ける伴走者が必要だ」と直感しました。
「創業者は、実は常にアドバイスを必要としているんです。でも、一人で考え抜いて戦っているがゆえに、伝え手が伝え方を間違えると、頭では分かっていても受け入れられないことも多々ある。経営者の経験があり、心情まで理解できる私なら、必要なサポートができる自信がありました」
そこで彼女は、「絶対に高野をサポートしたい。創業者時代にそばにいて欲しかった伴走者に、私がなろう!」と参画を決めたのです。
現在本部は高野のアシスタントとして、一切の忖度なく、あらゆるアドバイスを彼女に送っています。
かつて彼女は、創業者が背負うプレッシャーや問題のすべてを独りで抱え込み、恐ろしさを感じたことがありました。その経験を胸に今は、「なんでも相談していいんだよ」と繰り返し高野に伝えていると言います。
その姿からは、「伴走者として共に乗り越えていくから大丈夫」という温かなメッセージが感じられました。
多くの女性たちが明るい未来を描ける社会に
「高野をサポートしたい」とストーリーテラーズに参画した本部。共に走る中で芽生えてきたある想いがあります。
「ストーリーテラーズはコアメンバー全員が子育て中のママで、参画してくださってるライターさんも同じくママが多いんです。育児と両立するために働き方が柔軟で、子どもがそばにいながら仕事をすることも、当たり前に浸透しています」
メンバーが実践する「女性の新たな働き方」とは?斬新なワークスタイルに迫る
インターナショナルスクール時代、本部は悩みながらも仕事と育児の両方を背負うママたちをたくさん見てきました。これまでのキャリアを失わぬようフルタイムで働き、子どもとの大切な時間を確保するために、試行錯誤を繰り返していた彼女たち。それでも時間が足りず、「理想の母親になれていない」と悔しい想いをしている姿は、今でもまだ目に焼き付いています。
「私たちの独自のワークスタイルが広まることで、子育て中のママや独身女性、『子どもはまだ先』とキャリアを優先する既婚女性が、『子どもがいても好きな仕事を続けられる』という未来を描ける社会にできたら、こんなにうれしいことはありません」
本部は経営者や事業の成長をサポートするだけではなく、その先の女性の未来を明るく変えていくことまで見据え、今日も伴走を続けます。