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ストーリーテリング

CSOの真価が問われる「ファンがファンを作る時代」-チーフ・ストーリー・オフィサーとは【後編】-

チーフ・ストーリー・オフィサー

株式会社ストーリーテラーズ(以下、ストーリーテラーズ)のチーフ・ストーリー・オフィサー(以下、CSO)ふーみんです。【前編】では、ストーリーテラーズの代表 高野美菜子(こうのみなこ 以下、高野)が提唱する、CSOの定義・資質とCSOが活躍する未来についてご紹介しました。【後編】ではCSOが生まれた背景と、ストーリーテラーズのビジョンに焦点を当てていきます。

自らの価値とビジョンを定義する

CSOという概念は、なぜ生まれたのか。高野は「会社が成長するためには、『自分たちの価値を定義する言葉』と、『大きなビジョン』が必要だったから」と当時を振り返ります。

「創業してしばらくはサービス内容が固まっておらず、実績もありませんでした。そんな状態でも、営業先ではとにかくストーリーの重要性を伝え続けたんです。ところが、『ストーリーって…何の話?』と聞き返されるばかりで、まったく理解してもらえなくて。

ストーリーこそ会社経営にもっとも必要なエッセンスなのに、誰もその価値を分かってくれない…!理想と現実のギャップに、心が折れそうでした」

それでも、ストーリーの価値を信じて奔走する高野に、当時顧問を務めていたTeam Energy株式会社取締役CPOの金田 隼人(かねだ はやと)氏(以下、金田さん)から、こんな助言がありました。

スタートアップは世の中にないものを打ち出していく立場なので、理解されないのは当然です。だからこそ、自らの価値とビジョンを定義して、発信する必要があるんですよ。

たとえば、『会社や商品・サービスの魅力を、ストーリーで社内外に発信する”チーフ・ストーリー・オフィサー(CSO)”を作るのが私たちのミッションだ』と言い切ることが大切なんです」

金田さんの言葉を聞き、ハッとした高野。CSOという概念が、輪郭を描きはじめた瞬間でした。

その後、CSOについて思いを巡らせていた高野ですが、日々の仕事に追われ、しばらくするとすっかり忘れてしまうように。しかし、七転八倒の思いで働き続けた結果、次第に経営が安定するようになっていきました。

会社の成長はビジョンの大きさに比例する

会社経営が軌道に乗ってくると、高野はさらなる事業拡大に向けて燃え始めました。

「もっと会社を成長させたい。大きなプロジェクトも任せてもらえるようになりたい。そして、自分たちが知らない世界を見にいきたい…!」

そんなとき、当時営業顧問を務めていた株式会社ストリートスマート代表の松林大輔(まつばやし だいすけ)氏(以下、松林さん)から、こんなアドバイスを受けました。

「もっと会社を成長させたいなら、代表が大きなビジョンを描かないと辿り着けませんよ」

このとき、高野の中で、かつての金田さんの言葉と松林さんのメッセージが繋がりました。

「自ら価値を定義して作り出したい世界観を描く。私がそのビジョンをワクワクしながら語らないと、会社の成長ステージは上がらないんだ…!」

さらに、松林さんはこう続けました。

「今のストーリーテラーズはWantedlyの運用代行が主軸サービスで、ライティングの下請け業者と一括りに思われても仕方ありません。

でも、高野さんがビジョンを語れば、『高野さんが描く世界を作れたらすごい』『高野社長が言っていることは面白いな』と共感してくれる人が出てくるはずです。世間に期待されるようなビジョンを掲げて、ぜひ行動してみてください」

この言葉を受け、高野は決意しました。

「今こそ、『チーフ・ストーリー・オフィサー』を世の中に打ち出そう。ファンがストーリーを語り、次のファンを作る時代がやってきたんだから…!」

それから間もなく、ストーリーテラーズのホームページでは、目指す未来が掲げられました。

「CSOが活躍することで社内外にファンが増え、企業価値が上がり、採用・広報・ブランディングがどんどんうまくいくようになる世界」

それ以来、ストーリーテラーズはCSOの重要性を、取引先に伝え続けています。さらに、社内にもCSOを配置することで、自らが手本となってストーリーブランディングを進めているのです。

「信頼」という価値を提供する

取引先が増えてきた今、高野はある目標を掲げるようになりました。それは、「ストーリーテラーズがブランディングに関わることによって、取引先の社会的信用を高めること」です。

「ストーリーテラーズは、一定の基準を満たした企業とのみ、お取引させていただいています。その基準とは、『事業に社会性が感じられる』『理念と行動に一貫性がある』『社長や社員の人柄に共感できる』『創業の想いに共感できる』『事業にこだわりを持っている』の5項目です。

私たちが関わらせていただくことで、『あそこはいい会社なんだな』と世間に認知される。そんな状態にできたら最高だと思っています。私はストーリーテラーズを、企業価値を高めるだけでなく、社会的な信用度も高められる会社へと育てていきます!」

頬を赤らめ熱弁する高野の瞳には、目指す未来がすでに見えているようでした。

単に事業やサービスのメリットを伝えるのではなく、背景にある創業者や担当者の「想い」をストーリーにして語るのが、CSOの役目です。ストーリーに共感した人は、会社や商品・サービスのファンとなり、さらなるファンを生みます。そんな循環を絶やさぬよう、私たちは取引先のナンバーワンCSOとして、これからもストーリーを紡ぎ続けます。

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